大判例

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大阪高等裁判所 昭和32年(ラ)96号・昭32年(ラ)95号 決定

本件不動産競売調書によると昭和三二年三月一二日の競売期日には馬場好子が出頭して競買を申し出て、最高価競買人として馬場好子と署名押印したごとく記載せられているけれども、証拠を綜合すると、右競売期日当日によし子こと馬場好子なる女性が出頭していなかつたことが明らかである。

もつとも右競売調書の直ぐあとにつづられている委任状を考え合わせると、津田保雄が馬場よし子の署名代理をしたことがうかがわれないではない。しかしながら、もし津田保雄なるものが証拠にうかがわれるように、司法書士であるとすれば、同人は競買人の代理人として競売事件に関与することは、その正当な業務の範囲を超えるものとして法の禁ずるところであるばかりではなく(司法書士法第九条)、競売裁判所の補助機関たる執行吏に対し競買を申し出る行為は執行機関に対する意思表示として訴訟行為に準ずるものであつて、かかる行為には署名代理は許されないと解するのが相当である(民事訴訟法第七九条、第八〇条参照)。

したがつて、いずれの点からするも、本件競売は、最高価競買人の馬場好子が適法に代理せられずしてなされたことに帰着し最高価競買人が売買契約を取り結ぶことができないばあいに該当するといわなければならない。よつて民事訴訟法第六七二条第二号を適用し、かかる違法な競売を基礎としてなされた原決定を取消す。

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